クライミングを始めてから、一つ確信したことがある。
それは、結果や結論は出すものではなく、後からついてくるものであるということだ。
通常、人は、何かを成し遂げようとする時、無意識に目標やゴールを決め、結果や結論を想定した上で物事を運ぼうとする。
勉強の場合、「数学と英語さえ勉強すればあの大学に受かるだろう」だとか、恋愛の場合、「痩せて、筋肉を付ければ筋肉好きのあの子が振り向いてくれるだろう」といったことがそれだ。
そして、人はその目標に向けて努力していく。
だがある時、精一杯努力したにも関わらず、結果が出ないという状況に直面する。
そんな時、「こんなにも頑張ったのに、なぜ目標を達成できなかったのか」と、原因を考えるのが人間だが、自分がやってきたことが本当に正しい方法だったのかどうか、疑うことができる人は少ないと思う。
クラインミングにおいて言えば、5.10dを登れるクライマーが、新たな目標として、5.11aに目標を定め、5kg減量することを決意したとする。
そして、その目標を達成するために無事に5kg痩せることに成功した。しかしながら、1ヶ月打ち込んだにも関わらず5.11aを登ることはできなかった。
クライマーであれば、この結果に至るまでの過程が間違っていたのではないかと疑うのは容易なはずだ。
ムーブが違ったのではないか、脂肪と共に筋肉も落ちてしまったのではないか、連投し過ぎて体が疲れているのではないか。
こうした結果を踏まえて、原因を探り、次につなげることができるのがクライマーの強みであると私は思う。
もう一つ学んだことは、何より、結果を急ぎ過ぎない方が良いということだ。
例えば、ある女の子と付き合いたいと思った時、まるで付き合うこと自体がゴールかのように錯覚してしまうことがある。
まるで、あの女の子と付き合うことができれば、人生勝ちだと言わんばかりに、全てを捧げようとする。
クライミングでも同じことが言える。5.13aが登れたら、クライマーとして勝ちだと思い込む人がいるが、現実は違う。
実際のところは、好きな女の子と付き合うのはスタート地点でしかないし、5.13aも到達してしまえば通過点にしかすぎないのだ。
つまり何が言いたいかというと、結果というのは、人が死ぬ時にしか使えないということだ。
これから起こるであろう、自分が結果だと思っている事象は、たかが通過点にしか過ぎない。
5.11aが登れなくたって、彼女ができなくたって、仕事がうまくいかなくたって、それを結果として捉えるべきではない。
だって、あなたは、死ぬまで生き続けるし、死ぬまで登り続けるのだから。