今回の記事では、2chに投稿された怪談の中でも、トップクラスに怖いことで有名な怪談「リゾートバイト」について、実際に5年以上リゾートバイトをしており、ホラー小説を読むくらい怪談が好きな私が、感想や考察をまとみてみたいと思います。
一応、これからリゾートバイトをする方のために言っておくと、リゾートバイトはホラーとは全く無縁の働き方です。怪談「リゾートバイト」が怖いからといって心配する必要は全くありません!私のリゾートバイト体験談を下の記事でまとめていますのでぜひ参考にして頂ければ幸いです。
2chの怖い話「リゾートバイト」とは?感想と考察をまとめてみた!【ネタバレあり】
2chの怖い話「リゾートバイト」の感想と考察【ネタバレあり】
この記事では、怪談「リゾートバイト」のあらすじやネタバレを含んでいます。原文はもっと臨場感が伝わってくるくらい迫力があり、すぐに世界観に入り込めるので、ぜひ原文を読んでからこの記事を読むことをオススメします。
あらすじ1:大学生の3人組がヤバい民宿にリゾートバイトをする
物語は、大学3年生の友人3人組が、海の近くにあるちいさな民宿でリゾートバイトをすることから始まります。民宿の従業員は、女将さん、旦那さん、そして美咲ちゃんという地元の女の子です。
友達と一緒にリゾートバイトをするというのは、リゾートバイトではよくある話です。ただ、友達同士OKのような職場は、民宿のような小さな場所よりも、大きめ且つ人手が足りていない職場によくある話かもしれません。
民宿でのリゾートバイトを開始した3人組は、民宿の女将さんが、誰も使っていないはずの2階へ毎日食事を持っていくことに気付き、3人も2階に行ってみようということから物語は始まります。
3人のうち1人が、偵察ということで2階に行ってみると、そこには不穏な空気が漂っており、ドアがあるはずの扉にはべニアと無数の御札が、まるで何かを閉じ込めるかのように貼られていました。
そして、何より、女将さんが持ってきたであろう食事が無造作に置かれ、あまりに日が経っていたためか汚物と化していました。
そこで、3人は、異形のものの存在に気付きます。偵察に行った1人が、閉じ込められた部屋から「ガリガリガリッ」と、壁をもの凄い勢いで引っ掻く音と、「ヒューヒューヒュー」という不規則な呼吸音を聞き、あまりの怖さに膠着してしまいます。
さっきまで、閉じ込められた部屋から聞こえてきたはずの音が、一瞬で、天井裏へと移動し、いよいよ恐怖で足が震えだしたところ、視界の隅で動くものが見えたので勇気を出して見てみると、視線の先には、「早く降りてこい!」「大丈夫か!」と叫んでいるに2人がいました。
恐怖から逃れたい一心で、ものすごい勢いで階段を駆け下り、急いで部屋に戻った3人。「お前、上で何食ってたんだ?」階段の下から見ていた2人いわく、偵察に行った1人は、2階に着くとすぐにしゃがみこみ、なにかを必死に食べていたようでした。
偵察に行った1人胸元には、大量の残飯と思われる汚物が付着しており、よく見ると、手にも残飯が付いていました。当の本人は、しゃがみこんだ記憶もないし、もちろん残飯など口にしていないはずなのに、その間の記憶がないようでした。さらには、足の裏や膝に大量の細かい切り傷があり、そこには爪のような破片が付着していました。
この時すでに、異形のものは、偵察に行った1人の体に乗り移っており、その体を使って汚物を食べていたのではないかと推測できます。
次の日になり、リゾートバイトを辞めることにした3人。もちろん、2階に行ったことを言わずに、理由を作ってその民宿を後にしようとするのですが、民宿の旦那さんは、3人組の異変に気付いていました。
「おめぇ、あそこ行ったな?このまま帰ったら完全に持っていかれる」
3人のうち、1人はその足でお祓いをしに行こうとしていたのですが、旦那さんいわく、そんなのは意味がないという。3人は、旦那さんの軽トラに乗り込み、どこかに連れていかれることになりました。
あらすじ2:3人組が旦那さんに連れていかれた場所は・・・
3人が連れていかれた場所は、普通の一軒家でした。中には僧侶が複数人おり、すでに旦那さんが連絡を入れて、準備ができているようでした。
「このままいけば確実に死ぬ」
僧侶に言われるまま、一軒家から離れた「おんどう」と呼ばれる小屋に連れていかれた3人は、次の朝がくるまで、おんどうの外に出ないということ、夜明けまで声を発してはいけないということを約束され、憑いてしまったものを祓うことになりました。
その晩、3人は、おんどうの外から聞きなれた声を耳にします。
「Bくんおにぎり、おにぎりつくってきたよ」「いらっしゃいませ」
その声は、民宿で働いていた、美咲ちゃんという女の子の声でした。しかし、しゃべり方が無機質で、同じセリフを何度も繰り返していることから、異形のものだということが分かります。
扉がガタガタと揺れ始め、異形のものが中に入ろうとしているのが分かり、恐怖で身をすくめる3人組。壁の隙間から月明かりで見えた、美咲ちゃんの声をもつそれは、顔が黒く、細長い白目をむき出しにしていました。
長い長い夜が明け、僧侶がおんどうの扉を開き、3人の姿を見るなり声をかけました。
「よく、頑張ってくれました」
3人に憑いていた異形のものを祓うことに成功したようで、3人はお風呂に入り、一旦、疲れを癒すために眠ることになりました。
あらすじ3:女将さんと異形のモノの関係性
目を覚ました3人は、僧侶から、自分達に取り憑いてものは一体何だったのか、ことの真相を聞かされることになります。
「今回の事の発端をお見せしますね」
そうして見せられたのは、臍の緒でした。臍の緒には、「大病を患った子供に臍の緒を煎じて飲ませると、命が助かる」とか、「臍の緒を子供に授けると、その子を命の危険から守る」という言い伝えが、日本各地に存在します。
大学生3人がリゾートバイトをした土地では、子供に臍の緒を持たせれば、まだ臍の緒で繋がっていた時のように母子の繋がりが強くなり、子供が海で遭難したとしても無事に母親の元に帰ってこられるという言い伝えがありました。
女将さんは、旦那さんの民宿に嫁ぐ形でこの土地に来て子供を授かったものの、子供は海で遊んでいる途中で行方不明になってしまい、戻ってくることはありませんでした。
しかし、どこかで臍の緒の言い伝えを聞いた女将さんは、子供に戻ってきてほしいという一心で、旅館の2階を封鎖し、子供が戻ってくるという儀式を完成させてしまったのです。
ただし、その土地の言い伝えを知らなかった女将さんは、子供に臍の緒を持たせていませんでした。儀式で集まってしまった異形のものたちは、恐らく、自分の子供ではなく、親を求めて彷徨い続けていた蘇ってはいけない存在なのでした。
そうした異形のものがリゾートバイトをした大学生3人組に取り憑いてしまったというのが、2chの怖い話「リゾートバイト」になります。
2chの怖い話「リゾートバイト」の後日談
怪談「リゾートバイト」は、2010年代初期に、2chのオカルト板のスレッド「洒落怖」に投稿されたお話です。投稿者は、大学生3人組のうちの一人で、実際に起こった話かのように語られており、臨場感あふれる文章力から、一気にネット怪談の中でも有数の人気を誇る創作ホラーとして知られるようになりました。
この話の後日談としては、大学生3人組は、その後なんともなく日常生活に戻ったものの、その3人組の話を聞いた友達が民宿に電話をかけると、おばさんが電話に出て、なぜかカラスの鳴き声がうるさかった、という形で締めくくられています。
2chの怖い話「リゾートバイト」のまとめ
さて、2chの怖い話「リゾートバイト」のまとめに入りたいと思います。私自身、ホラー小説が大好きで、これまで30冊ほどホラー小説を読んできたのですが、怪談「リゾートバイト」は、短編集の一つとして、本屋さんで売られていてもおかしくないほど完成された怪談だと思いました。
しかしながら、5年以上リゾートバイトをしており、リゾートバイトという働き方がどんなものかを把握している私の観点から言うと、リゾートバイトでは、個人経営のような小さな民宿の求人はかなりレアで、リゾートバイトの求人の大半は、有名なリゾート施設や、従業員が数十人以上いる宿泊施設が占めています。
怪談「リゾートバイト」が怖いからといって、リゾートバイトを辞めるのはとても勿体無いので、ぜひ私の他のブログ記事を読んでいただいて、リゾートバイトがどんな働き方なのかイメージして頂ければと思います。